- 独自の解答・詳解
- 問題文は非掲載
- 全6問・無料
東京大学 2020年度 前期日程 理科
東大理系 2020年度 数学の解答・解説
全6問。当サイトで独自に解いた解答・計算過程・詳解・別解を、大問ごとに載せています。
最終更新 2026/10/11
問題文について
大学の公式解答ではなく、当サイト独自の解答・解説です。問題文は掲載していません。理科の問題文は、この年度については大学が公開していません (2026/10/11時点)。お手元の過去問集・赤本などでご確認ください。
問題を転載している非公式サイトへのリンクは、当サイトでは行っていません。
第1問 2次不等式
2次関数の符号・不等式の解集合・背理法・場合分け当サイトの体感難易度:標準
(1) がすべて 以上であることを示す
答どれか1つが負なら、その式は を大きくすると負になり、解集合が を含まなくなる
解集合が と一致する以上、いくらでも大きい が解になっていなければならない。2次式は、2次の係数が負なら で必ず負になる。この一点だけで決まる。
仮に とする。 で、 のとき括弧の中は に近づくから、十分大きい に対して となる。
ところが解集合は をみたす の全体なので、いくらでも大きい が含まれる。そのような は3つの不等式をすべてみたすはずで、矛盾する。よって である。
は2つめの式 の、 は3つめの式 の2次の係数なので、まったく同じ議論で 、 が言える。
3つの式は を1つずつずらした形になっていて、 がそれぞれちょうど1回だけ2次の係数になる。だから同じ議論を3回くり返せば足りる。
(2) のうち少なくとも1個は であることを示す
答すべて正なら でも3式がすべて正になり、解集合が下に有界でなくなる
(1) で は分かっている。全部が正だと仮定して矛盾を出す。2次の係数が正なら でも式は正になるので、どんなに小さい も解になってしまう。解集合 は下に有界なので、これは矛盾である。
(1) より である。仮に がすべて正であるとする。
なので、(1) と同じ理由で が十分大きければ となる。とくに が十分小さい(絶対値の大きい負の数)ときにも正である。、 についても同様だから、十分小さい に対して3つの不等式がすべて成り立つ。
しかし解集合は をみたす の全体で、 より小さい は含まない。十分小さい は より小さいので矛盾する。よって のうち少なくとも1個は である。
なら3式はどれも で、すべての実数 で成り立つ。解集合は実数全体となり、 の形ではない。 を正にとった 組で を入れると、すべてで3式が成り立った。
「3つの2次式がすべて下に凸」であることから、 でも でも正になる、というのがこの小問の急所である。解集合が両側に伸びてしまうのが矛盾の正体である。
(3) であることを示す
答
3つの不等式は という入れかえで全体として同じものに戻るので、 になるのが だとしてよい。あとは として3式を書き直し、 が正かどうかで2つに分けて解集合を直接求める。どちらも になる。
3つの不等式は を に置きかえると互いに入れかわるだけで、全体としては同じ条件になる。よって (2) で になるものを としてよい。 とすると3式は
となる。、 である。
のとき。 3つめから である。1つめは だから、 とあわせて を得る。逆に なら、 より 、 が成り立ち、2つめも で成り立つ。よって解集合は をみたす の全体で、 である。
のとき。 3式は 、、 となる。 なら3つめが成り立たず解集合は空になり、 の形にならないので不適である。 なら1つめから 、2つめは 、3つめはつねに成り立つので、解集合は をみたす の全体となり、やはり である。
いずれの場合も である。
とすると3式は 、、 で、解集合は 。 なら 、、 でやはり 。 で少なくとも1つが の 組を機械で調べても、解集合の下限はつねに だった。
「巡回させても同じ条件になる」ことを一言書いておけば、、、 の3通りを別々に調べる必要はなくなる。書かずに だけ扱うと、議論に穴が残る。
かつ ( と合わせて3つとも )の場合は解集合が空になる。 の形の集合は空ではないので、この場合は仮定に反する。
第2問 図形と方程式
面積比と座標・絶対値の和・領域の面積・六角形当サイトの体感難易度:やや難
をみたす点 の動きうる範囲の面積を求める
答
を の重みつき平均として ()と書くと、3つの三角形の面積はちょうど になる。すると条件は の大小だけの話になり、絶対値を外すと3本ずつの帯で囲まれた六角形が見えてくる。
平面上の点 は、実数 ()を使って
と一意に書ける。このとき である。実際、 と の、直線 からの距離の比が になるからである。同様に 、 だから
である。これを と書く。
を不等式に直す。 絶対値は、符号で場合分けする代わりに「 が符号の組み合わせ8通りすべてで成り立つこと」と言いかえられる。 を使って整理すると、
- は 、 は で、 ならどちらも自動的に成り立つ。
- は 、すなわち 。
- は 、すなわち 。
、 についても同じなので、 のとき
である。
面積を出す。 、、 とおくと
となる。 とおく。上限を無視すれば 、 は三角形で、これは を 倍に拡大した形だから面積は である。そこから 、、 の3つの角を切り落とす。たとえば の部分は のもとで 倍の相似な三角形なので、面積は である。
なので( の範囲で確かめられる)切り落とす3つは重ならない。よって
となる。 のとき で、三角形 自身の面積と合う。
したがって求める面積は
である。
、、 とすると になる。 の格子で をみたす点の面積を数えると で、 と刻み幅の範囲で一致する。 の面積も でそれぞれ 、、 となり、 に合う。
となるのは のときである。一般には で、この問題では と与えられているので係数が消える。
絶対値を場合分けで外すと 通りになるが、 がすべて成り立つこと、と言いかえると見通しがよい。符号の組み合わせのうち と は なら自動的にみたされる。
切り落とす3つの角が重ならないことを確かめておく。 が大きいと重なり始めるが、この問題の では重ならない。
第3問 微分法・積分法
媒介変数表示・極座標と面積・回転で掃く領域・定積分当サイトの体感難易度:難
(1) で が単調に減少することを示す
答 で、根号の中が減少する
も も を因数に持つので、割るとそこが消える。残った形は根号1つだけになり、中身の単調性を見れば終わる。
、 で、 では だから
である。ここで
で、 は増加し正だから は減少する。よって根号の中は で単調に減少し、 は増加関数だから も単調に減少する。
は原点から見た の方向(偏角の正接)である。これが単調に減少するということは、 が増えるにつれて の偏角が単調に減ることを意味し、(3) で「どの向きにも の点がちょうど1つある」ことの根拠になる。 で (偏角 )、 で (偏角 )である。
(2) の増減を調べ、最大値を求める
答 で増加、 で減少。最大値は ()
根号のままでは微分が重い。 は 以上なので、 の増減を調べれば の増減がそのまま分かる。 は の3次式になり、微分すると因数分解できる。
なので の増減を調べればよい。
である。微分すると
となる。 では なので、符号は で決まり、 で正、 で負である。したがって は で増加し、 で減少する。最大は で
である。
。 を 等分して を全探索すると、最大値 を でとる。両端は 、 で、どちらも最大値より小さい。
(3) を原点のまわりに時計回りに 回転させるとき、 が通過する領域の面積を求める
答
(1) より の偏角は とともに から まで単調に減るので、 は原点について「星形」、つまり偏角 ごとに と書ける。回転で掃く領域も偏角ごとに半径の最大を取るだけで決まる。 は (2) から1回だけ山を作る形なので、最大の取り方が場所によって3通りに分かれ、そのうち2つを足すとちょうど の面積に戻る、というのが仕掛けである。
(1) より が から まで増えるとき の偏角 は から まで単調に減る。よって の各方向に の点がちょうど1つあり、その原点からの距離を とすると
と書ける( は原点からの距離)。
の形。 (2) より は で最大 をとる。 のとき なので、対応する偏角は である。 と は逆向きに動くから
- ()では は増加。。
- ()では は減少。。
つまり は でただ1つの山を作る。
掃いた領域。 時計回りに ()だけ回した は、偏角 のところで半径 (ただし のとき)まで届く。 を全部動かしたときの半径を とすると、掃いた領域の偏角の範囲は で
となる。 の山が にあることから、3つに分かれる。
- : なので で は増加。。
- :どちらの範囲にも が入るので (一定)。
- : で は減少。。
面積は で求まる。1つめは と置換すると
となり、3つめの と足すと
に戻る。2つめは半径一定なので扇形で、中心角は 、面積は
である。
の面積。 は とともに増加するので で求まる。 だから
である。()と置くと 、 で
となる。 と2倍角・3倍角で開いて積分すると なので
である。したがって求める面積は
となる。
、。 の面積を数値積分すると で と一致する。掃過領域の面積を極座標で数値積分すると となり、刻み幅の範囲で と一致する。扇形のぶん を足した とも合う。
(1) が効くのは「各方向に の点がちょうど1つ」を保証する点である。これがないと を極座標で書けず、回転で掃いた形も分からない。
掃いた領域の3つの部分のうち、両端の2つを足すとちょうど の面積に戻る。別々に計算しようとすると を陽に求める羽目になるが、その必要はない。
の面積は で、 ではない。 が単調であることを確かめてから使う。
第4問 数列・式と証明
基本対称式・母関数・等比数列・係数比較当サイトの体感難易度:やや難
(1) 以上の整数 に対し を求める
答
2つずつの積の総和は、「全部の和の2乗」から「2乗の和」を引いて2で割れば出る。どちらも等比数列の和なので簡単に書ける。
、 とおく。
なので
となる。 だから
である。
なら 。直接数えると で合う。 なら で、 から2つ選ぶ6通りの積の和 と一致する。
(2) と を の整式で表す
答、
は「 から 個選んだ積の和」なので、 はこれらを1つずつ「使う・使わない」で展開したもの、つまり という積になる。積の形にしてしまえば2つの比はどちらも1個の因数の差になる。
を展開すると、各因数から か のどちらかを選んで掛け合わせたものの総和になる。 の係数は「 を 個選んだ積の和」、すなわち である。よって
と書ける。1つめの比は、因数が1つ増えるだけだから
である。2つめは、 を に置きかえると指数が1つずつずれて
となるから
である。
なら で、、 と合う。 で、、 より となる。
を積の形に書き直すところがこの問題の中心である。 の定義をそのまま使って比を計算しようとすると行き詰まる。
(3) を で表す
答
(2) の2つの等式はどちらも を で表している。両方の の係数を書き出すと、 を と で表す式が2本できる。2本から を消せば答えが出る。
(2) の2つの等式を、分母を払った形で書くと
である。()として、両方で の係数を比べる。1つめから
であり、 なので2つめからは
となる。2式の右辺を等しいとおくと
である。 だから となり、これを1つめに入れて
を得る。 なので割ってよく
である。
、 なら 。実際 、 で と一致する。、 のすべてで分数として一致することを確かめた。
のときは という「存在しない項」が出るが、 とみなせば式はそのまま成り立つ( なので左辺も )。
第5問 空間図形・体積
円錐・凸包・断面積・ミンコフスキー和当サイトの体感難易度:標準
(1)平面 による の切り口と の切り口を同一平面上に図示する
答 の切り口は原点を中心とする半径 の円板、 の切り口は を中心とする半径 の円板
は高さ で半径が の円板になる。 のほうは、 の高さが 、 の高さが なので、 はちょうど線分 の中点である。中点は「 と の平均」だから、 が底面の円板を動くときの中点の全体は、その円板を半分に縮めて平行移動したものになる。
は底面が ()、頂点が の円錐だから、高さ での切り口は原点を中心とする半径 の円板である。 では半径 の円板になる。
と ()を結ぶ線分のうち にあるのは中点で、
である。 が単位円板を動くとき は、中心 、半径 の円板を描く。よって の切り口はこの円板である。
が底面の円周の点 のとき、中点は で、中心 からの距離はちょうど 。 なら中点は で、これも距離 。2つの円は中心間の距離が 、半径がともに なので、互いに相手の中心を通る形で重なる。
(2) が を動くとき、線分 が通過する部分の体積を求める
答
は凸なので、 から の各点へ引いた線分の和集合は、 と を合わせた凸包になる。さらに は「頂点 と底面の円板の凸包」だから、求める立体は「、頂点、底面の円板」の凸包である。高さ で切ると、上の2点から来る線分と底面から来る円板の重みつき和になり、断面は「線分と円板を足した形」、つまり角の丸い長方形になる。
は凸なので、 から の各点へ引いた線分すべての和集合は、 と の凸包に等しい。 自体は頂点 と底面の円板 の凸包だから、求める立体 は
である。 と はどちらも高さ 、 は高さ にある。 の点は の点の重みつき平均で、高さが になるのは「高さ の2点の重みの合計」が のときである。
と の 座標は と だから、重み の範囲で作れるのは原点から までの線分である。残りの重み を円板 に配ると、半径 の円板が作れる。よって高さ の断面は
すなわち、線分の各点を中心に半径 の円板を描いて重ねた形になる。これは縦 ・横 の長方形の左右に半径 の半円をつけた形で、面積は
である。 より なので
となる。
()のとき断面は、線分 – と半径 の円板の和で、(1) で描いた2つの円板をちょうど包む形になっている。(1) の図が (2) の断面の特別な場合になっていることが確かめられる。
。円錐 だけの体積は で、差の が 側にはみ出したぶんにあたる。 万点のモンテカルロでも となり一致した。
(底面だけを動かしたとき)の体積ではなく、 全体を動かしたときの体積である。 が凸であることを使って凸包に言いかえると、断面が素直な形になる。
断面は円板でも長方形でもなく、両端が半円の「角丸長方形」である。面積を長方形だけ、あるいは円だけで出さない。
では半径 の円板(面積 )、 では1点(面積 )になる。式 がこの両端で正しい値を返すことを確かめておくとよい。
第6問 三角関数・図形と方程式
中間値の定理・三角方程式の解の個数・楕円の法線・合成当サイトの体感難易度:難
(1) のとき が に少なくとも 個の解をもつことを示す
答 となる 点で符号が交互に変わるので、中間値の定理から 個
が をとる点を選ぶと、第1項の絶対値は になる。第2項は絶対値が 以下なので、 なら第1項の符号がそのまま全体の符号を決める。 は と交互にとるので、符号も交互に変わる。
とおく。 では がそれぞれ になるから、 とあわせて
となる。 は連続だから、中間値の定理により 、、 のそれぞれに解が少なくとも1つある。
さらに は周期 をもち なので、 にも解がある。この区間の解は を引けば の中の、上の3つとは別の位置に来る。よって に少なくとも 個の解がある。
から までだと符号の変化は3回しかない。周期性を使って から までをもう1区間として数えると4個になる。
(2) 内のすべての点 が条件をみたすような が存在することを示し、その最大値を求める
答最大値は
「 での接線と が直交する」を式にすると、 の媒介変数 についての方程式になり、整理すると (1) とまったく同じ形 になる。 は の位置だけで決まり、 が と同値になる。最大値のほうは、 を特別な向きにとって解の個数を直接数えればよい。
上の点を とおく。 を動かすと は を1周し、 の範囲では と が1対1に対応する。接線の方向ベクトルは
である。 として、 と接線が直交する条件は
すなわち、 とおくと
である。なお なので、 は と書き直せる。
なら条件がみたされる。 が原点なら で、方程式は となり の 個の解をもつ。 が原点でないときは、合成して
となる がとれるので、両辺を で割って
の形になる。 なら なので、(1) より解は少なくとも 個ある。異なる には異なる が対応するから、条件をみたす も少なくとも 個ある。
よって とすれば、 のすべての点 ()で条件がみたされる。とくにそのような は存在する。
では成り立たない。 の点を考える。方程式は
である。 とおくと より で
となる。 なので、 なら は 個、 なら 個、 なら 個である。 を整理すると
となる(もう一方の は ならつねに 以上)。したがって では に対応する がなく、解は 個しかない。 でも 個である。
この点の原点からの「 での距離」は で、 は にあたる。 なら となる がとれて、その は の中にありながら条件をみたさない。よって は不適である。
以上より求める最大値は である。
をみたす 点を無作為にとって解の個数を数値で数えると、すべて 個以上だった。 の 点では 点で 個未満になる。 では となってちょうど境目になり、この点の距離は である。
と置きかえると、 の条件 がそのまま になり、(1) の も ときれいに書ける。この置きかえをしないと式が見通せない。
が原点の場合は合成ができないので、別に扱う。このときはちょうど 個になる。
最大値を出すには「 だと壊れる」具体例が要る。 の向き(楕円の縮閉線が原点にいちばん近づく向き)をとるのがよく、そこでは の置きかえで解の個数が正確に数えられる。
大学の公式解答ではなく、当サイト独自の解答・解説です。問題文は掲載していません。解答は当サイトで検算していますが、誤りが残っている可能性はあります。掲載方針配点・採点基準・難易度を大学の公表値として示すことはしていません。
当サイト運営者が制作した教材
同じ形式の問題を、5回分
中身を試し読みする
扉・問題・解答などを、それぞれ抜粋して掲載しています。連続したページではありません。画像を押すと拡大できます。
関連するページ
- 東大理系数学の傾向と対策— 年度別・分野別の出題分析。この年度が全体のどこに位置するかが分かります。
- 東大理系数学 分野別完成演習— 過去問に入る前に、頻出7分野を段階的に固める演習書です。
- 東大理系数学のほかの年度— 同じ大学の解答・解説一覧。




