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九州大学 2023年度 前期日程 理科系

九大理系 2023年度 数学の解答・解説

全5問。当サイトで独自に解いた解答・計算過程・詳解・別解を、大問ごとに載せています。

最終更新 2026/10/12

問題文について

大学の公式解答ではなく、当サイト独自の解答・解説です。問題文は掲載していません。理科系の問題文は、この年度については大学が公開していません (2026/10/12時点)。お手元の過去問集・赤本などでご確認ください。

問題を転載している非公式サイトへのリンクは、当サイトでは行っていません。

第1問 複素数平面

相反方程式・対称式・基本対称式・正三角形条件当サイトの体感難易度:やや難

(1)4次方程式 を解く

答(どちらも重解)

係数が と左右対称(相反方程式)なので、 で割って とおく。

は解でない(代入すると )ので、両辺を で割ってよい。

とおくと だから

すなわち (重解)である。

に戻す。 より

である。 が重解だったので、もとの4次式は に等しく、この2つがそれぞれ重解である。

で、 の原始6乗根である。

を4次式に代入すると 、導関数 に代入しても になり、重解であることが確かめられる。

相反方程式では が解でないことを先に断ってから で割る。

の を忘れない。

が重解なので、 の4つの解は2種類が2個ずつである。「4つの異なる解」と書かない。

(2) のとき がどのような三角形かを答える

答正三角形

、、 とおくと である。このとき という恒等式が成り立つので、条件は に帰着する。

、、 とおくと である。基本対称式を

とおく。

2乗和と4乗和。 なので

である。また

である( で )。まとめると

である。

条件を書き直す。 与式 は 、すなわち と同値である。 だから は3次方程式

の3つの解である。 は三角形なので 、したがって である。

の3解は、1つを とすると ()である。したがって

すなわち で、 は正三角形である。

逆に正三角形なら 、(または と を入れ替え)と書けて、 だから与式は になる。

となる複素数を 万組ランダムにとると、つねに だった。頂点 (正三角形)では与式が 、(直角二等辺)では 、 では になった。

に気づくのが出発点。 である。

から とはできない。複素数なので2乗が負にもなる。

「正三角形」と答えるだけでなく、逆も成り立つこと(正三角形なら条件をみたす)に触れておくと安全である。

第1問だけのページ

第2問 数列

絶対値のついた漸化式・場合分け・等比数列・収束と発散当サイトの体感難易度:やや難

(1) のとき数列 の収束・発散を調べる

答 に収束する

を場合分けで書き直すと、 では 、 では という、とても単純な関数になる。

とおくと である。

である。つまり より小さい値が出たら、次からはずっと になる。

  1. のとき:。以後 なので 。
  2. のとき:。以後やはり 。

どちらの場合も で だから、 は に収束する。

(2, 2)(1, 0)
のグラフ。 では 、 では傾き の直線 。点線は で、交点 と が不動点にあたる。

のいずれでも だった。

を忘れない。 側の式を使うが、値は になる。

()はただ1点に潰す写像である。ここに入ったら二度と出られない。

(2) のとき数列 の収束・発散を調べる

答正の無限大に発散する()

であるかぎり となり、 が公比 の等比数列になる。 なら初項が正なので、 はずっと より大きく、場合分けが切り替わらない。

のときは で、両辺から を引くと

となる。 のとき なので、帰納的に 、すなわち が続き、この式をずっと使える。よって

である。 と より

で、 は正の無限大に発散する。

で 、 で と、 に一致した。

が使えるのは のときだけである。「 がずっと続く」ことを帰納法で押さえてから一般項を書く。

のときは のまま( に収束)で、発散しない。 という条件が効いている。

(3) のとき数列 の収束・発散を調べる

答 に収束する( 以降はすべて )

なので である。 だと になり、そこから先は (1) と同じく に落ちる。

より なので

である。 だから

すなわち である。よって となり、以後 ()である。したがって は に収束する。

だとちょうど になり、。やはり に落ちるが、1回ぶん長くもつ。この境目が (3) と (4) を分けている。

で 、 で となり、どちらも だった。

が 未満かどうかを決めるのは である。 という半端な境目はここから出てくる。

でも 未満なら次は である。「正だから減りながら続く」ではない。

(4) のとき数列 の収束・発散を調べる

答 に収束する(ある から先はすべて )

この範囲では なので、すぐには に落ちない。 と書けるので、 より はいくらでも大きくなり、いつかは になる。そこから先は である。

であるかぎり (2) と同じ式が使えて

である。 では なので、 は とともに減っていく。

いつかは を下回る。 かつ だから で、

をみたす が存在する。そのような最小の を とすると、 では なので上の式が使えて、 である。

だから で、以後 である。よって は に収束する。

だけが例外で、このとき (すべての )となり に収束する。 ならどんなに に近くても、有限回で に落ちる。

では 、。 では となって 。いずれも だった。

(3) と違って「」とは言えない。 である。何回かかるかは によるので、「ある が存在する」という形で書く。

がいくらでも大きくなることを根拠にする。 が小さくても、かけ算で必ず を超える。

ちょうどになることもある()。そのときも なので結論は変わらない。

第2問だけのページ

第3問 ベクトル

1次独立・連立1次方程式・格子点の基底・整数解当サイトの体感難易度:難

(1)条件 I がすべての に対して成り立つとき であることを示す

答 なら は1本の直線上しか動けず、その外の をとれない

対偶を示す。 は と が平行であることを意味するので、 の動ける範囲は原点を通る1本の直線に限られる。

対偶「 ならば、条件 I をみたさない が存在する」を示す。

は平行を意味する。 とする。 なので または である。 のとき だから

となり は の実数倍である。 のときも から同様に となる。

動ける範囲。 と書けるので

である。 を実数全体で動かしても、これは の実数倍しか作れない。つまり原点を通る直線 (方向 )の上の点だけである。

だから、 に乗らないベクトル、たとえば ( と垂直で でない)は作れない。これは「条件 I がすべての で成り立つ」に反する。

よって対偶が示され、 である。

、()では は直線 上しか動かず、 は作れない。

、 が仮定に入っている。 の場合を気にする必要はない。

から を導くとき、 か かで場合分けが要る。いきなり割らない。

反例の は具体的に挙げる。 は と垂直なので、 の実数倍にはなりえない。

(2)、 をみたす を求める

答、

とおくと、条件は についての連立1次方程式になる。係数行列の「たすきがけ」がちょうど で、 だから一意に解ける。

を求める。 とおくと条件は

である。上を 倍、下を 倍して引くと 、つまり 。上を 倍、下を 倍して引くと 、つまり 。よって

である。

を求める。 とおくと

で、同じように解いて

である。 なのでどちらも一意に定まる。

この の役目は「 と書けたとき、 と を取り出す」ことである。実際、内積をとると、同様に となる。(3) はこの性質で解ける。

をランダムに 万組とって4つの内積を計算すると、すべて条件どおりだった。

は「 方向」ではない。 と垂直で、 との内積が になるベクトルである。

成分の位置に注意。 には 、 には が出る。入れ替えないこと。

(3) が整数で、成分が整数のすべての に対して条件 II が成り立つとき、 のとりうる値をすべて求める

答

(2) の注のとおり 、 である。 の2つを入れるだけで が のすべてを割ることが分かり、そこから が出る。

を書き下す。 のとき、 との内積をとると

であり、同様に である。したがって に対して

である。

が4つすべてを割る。 条件 II より、これらが整数になる。

  1. :、 が整数 は と を割る
  2. :、 が整数 は と を割る

よって 、、、 と整数で書ける。すると

である。 なので両辺を で割って

となる。 も も整数だから である。

逆も成り立つ。 なら (2) の の成分 はすべて整数である。よって整数ベクトル に対し 、 はどちらも整数で、条件 II が成り立つ。

したがって のとりうる値は

である。

の整数をすべて走査し、 の整数ベクトルすべてで が整数になるものを集めると、 は と しか現れなかった。

「 が整数として存在する」を使うには、まず が一意に決まることを言う必要がある。(2) の がその役目を果たす。

と の2つだけで すべてが で割り切れると分かる。すべての を相手にしなくてよい。

が十分条件でもあることを示さないと「とりうる値」として確定しない。逆向きを忘れない。

第3問だけのページ

第4問 微分法

関数方程式・加法定理・微分可能性・指数関数と三角関数当サイトの体感難易度:難

(1)条件 (A), (B), (C) から 、 となることを示す

答(B) で とすると 、 は (A) に反するので 、すると (A) から

(A) と (B) に を代入する。(B) のほうが因数分解しやすく、 か の2択になる。後者を (A) で潰す。

を代入する。(A) から

(B) から

である。よって または である。

は起こらない。 これを ① に入れると

となるが、 は実数値関数なので であり、矛盾する。

よって 。 ① に入れると 、すなわち である。(C) より だから

である。

、 では 、 で、確かに条件どおりだった。

(C) の は最後に効く。これがないと 、 という自明な解()が残る。

を切るのに「実数値関数」であることを使う。問題文に書いてある条件なので、根拠として挙げておく。

(2) がすべての で微分可能で となることを示す

答

加法定理 (A) を使って を「 の関数」「 だけの差分商」の形に直す。(1) で 、 が分かっているので、 での微分可能性(条件 (D))だけで極限が出る。

(A) より なので

である((1) の 、 を使った)。両辺を で割ると

となる。条件 (D) より は で微分可能で 、 だから、 のとき右辺の2つの差分商はそれぞれ 、 に収束する。よって

である。極限が存在したので はすべての で微分可能で、 である。

まったく同じやり方を (B) に施すと が出る。(3) ではこちらも使う。

、 では で、確かに成り立つ。

「 でしか微分可能と仮定されていない」のがこの問題の肝である。加法定理で を のそばに追い出すのが要点。

を と書き直すところで (1) を使う。ここを飛ばすと差分商の形にならない。

「極限が存在するから微分可能」と、微分可能性のほうを結論として書く。先に があると仮定しない。

(3) となることを示す

答実部 、虚部 はともに導関数が で、、

左辺を展開して実部と虚部に分け、それぞれを微分する。(2) の 、 を使うと、どちらも になって定数だと分かる。あとは の値を見るだけ。

左辺を展開すると

ただし

である。

は定数。 (2) より 、(同じ議論を (B) に施して得られる)だから

である。導関数が恒等的に なので はともに定数関数である。

値を決める。 (1) より 、 だから

である。よって 、、すなわち

である。

この等式から となり、実部・虚部を比べて 、 が出る。

、 とすると 、 で、確かに になる。

複素数のまま微分するのではなく、実部 と虚部 に分けてから実関数として微分する。高校の範囲で書くならこの形がよい。

は (2) の文面には出てこないが、同じ議論で得られる。使う前にひとこと断る。

なので は決して にならない。割り算してよい。

(4)、 が (B), (D) をみたすことを示し、、 を求める

答、

(B) の確認は、指数の部分が ときれいに揃うので、 の (B) をそのまま使える。(D) は積の微分で の値を計算するだけ。あとは前半の結論 、 を逆に解く。

(B) の確認。 右辺を計算すると

である(3行目で の条件 (B) を使った)。よって は (B) をみたす。

(D) の確認。 は で微分可能なので、積と合成の微分より も で微分可能で

である。 を代入し、、(条件 (D))を使うと

となる。同様に 、 より

である。よって は (D) をみたす。

を求める。 前半の結論より 、 である。定義式に戻して

である。、すなわち とおくと

となる。同様に

である。つまり空欄は

である。

という仮定は、 と を作るために必要である。 だと となり、、 という別の形になる。

、 について、 をランダムに 万組とって (A), (B) を確かめるとすべて成立した。数値微分でも 、 になった。

が (B) をみたす計算では、 が にまとまることが要点である。指数の肩が で揃うから加法定理がそのまま移る。

の計算で の係数 (合成関数の微分)を落とさない。

最後に で変数を戻す。 のままでは答えにならない。

第4問だけのページ

第5問 積分法

媒介変数表示・接線・面積・単調性当サイトの体感難易度:やや難

(1)曲線 に接する直線のうち 軸と平行なものがいくつあるかを求める

答2つ

軸に平行な接線をもつのは かつ のところである。 なので を解く。

なので

である。 では なので 、つまり は決して にならない。

を解く。 で、 より だから

の2つである。どちらでも なので、接線は 軸に平行になる。

異なる直線か。 2つの での 座標を比べる。 で 、 だから

と異なる。よって求める直線は2つである。

、 で になり、 はそれぞれ 、 と異なった。

も確かめる。両方 だと接線の向きが決まらない。

を に直してから を解く。 の範囲を のままにすると解を落とす。

「 が2つ」で終わらせず、 座標が異なる(=直線が2本ある)ことを確かめる。

(2) のうち にある部分と直線 で囲まれた図形の面積を求める

答

なので は の増加関数、つまり は「 を の関数として表したグラフ」である。だから面積は でよい。

となる の範囲。 で、 では だから

である。両端 では となり、 は直線 上にある。

は の関数。 なので、 は について狭義増加である。したがって 上の点は の値で一意に決まり、 を の関数とみてよい( のほうは (1) で見たとおり増減するが、面積計算には関係しない)。

面積。 同じ に対する「曲線の 」と「直線の 」の差を で積分すればよい。 だから

である。展開すると

で、4つの項を順に積分する。

足し合わせて

である( ほど)。

t = π/6t = 5π/6
曲線 ()と直線 。 と で交わり、その間で は直線の右側()にある。 付近で がいったん最大になり、曲線が折り返しているのが (1) の2本の鉛直接線にあたる。

を 万点のシンプソン法で計算すると となり、 と一致した。

は単調でない((1) で見たとおり折り返す)が、 は単調増加である。だから「 で積分する」ほうを選ぶ。 で積分しようとすると場合分けが要る。

の範囲は 、つまり である。 と向きを取り違えない。

を掛け忘れない。 ではない。

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