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名古屋大学 2020年度 前期日程 理科系

名大理系 2020年度 数学の解答・解説

全4問。当サイトで独自に解いた解答・計算過程・詳解・別解を、大問ごとに載せています。

最終更新 2026/10/12

問題文について

大学の公式解答ではなく、当サイト独自の解答・解説です。問題文は掲載していません。理科系の問題文は、この年度については大学が公開していません (2026/10/12時点)。お手元の過去問集・赤本などでご確認ください。

問題を転載している非公式サイトへのリンクは、当サイトでは行っていません。

第1問 図形と方程式

双曲線・解と係数の関係・点と直線の距離・面積の最小値当サイトの体感難易度:標準

(1)双曲線 の の部分を 、 の部分を とするとき、直線 が の両方と1点ずつで交わるための の条件を求める

答

を消して の2次方程式にすると、「 と に1点ずつ」は「 の2解が正と負に1つずつ」と言い換わる。符号が分かれる条件は判別式ではなく解の積が負なので、定数項と2次の係数の比だけ見ればよい。

は不適。 なら直線は で、 のときは という 軸に平行な直線である。 の符号が1つに決まるので、 と の両方とは交われない。 なら直線にならない。よって である。

のとき を に代入して、両辺を 倍すると

すなわち

である。双曲線上の点は が決まれば で1つに決まるので、交点と ① の実数解は1対1に対応する。したがって求める条件は

である。

係数を見る。 まず だと ① は1次方程式になり、解が1つしかないので不適である。よって で、① は2次方程式である。

2解を とすると、解と係数の関係から

である。解が正と負に1つずつあるのは のとき、つまり

のときである( に注意)。このとき2解の積が負なので判別式は自動的に正になり、実数解も確かに2つある。よって求める条件は

である(このとき も自動的に成り立つ)。

()では2解とも同符号になり、 では と符号が分かれた。

軸に平行な場合()を先に外しておく。代入して割る操作が使えないので、別扱いが要る。

「2つの実数解をもつ」だけでは足りない。両方とも正だと 側に2点、 側に0点になる。見るのは解の積の符号である。

の場合は2次方程式ですらない。係数が になる場合を落とさない。

(2) のとき、 と、直線 が と交わる点 でできる の面積 を で表す

答

を底辺、 から直線までの距離を高さとする。 は ① の2解の差から、距離は点と直線の距離の公式から出る。交点の座標そのものは要らない。

A(a, b)PQC₁C₂ax - by = 1
(a, b) = (0.3, 1) のときの様子。双曲線 x² - y² = 1 の右の枝が C1、左の枝が C2 で、直線 ax - by = 1 が各枝と1点ずつで交わる。網かけが △APQ。

高さ。 と直線 の距離 は

である。 だから で、絶対値が外れて

である。とくに なので は直線上になく、 はつぶれない。

底辺。 ① の2解を とすると、解と係数の関係から

である。 とおくと

で、中身を展開すると

となる。したがって

である。 より なので

すなわち

である()。

面積。 以上から

で、 が約分されて

である。

が に の形でしか依存していないのが、この問題のしかけである。(3) でそのまま効く。

で交点を数値で求め、 を計算すると 、式の値も だった。

交点の座標を根号で書き下すと式が重くなる。 は で出す。

の絶対値は (1) の条件 で外れる。符号の根拠を書いておく。

(3) の最小値と、それを与える の条件を求める

答最小値 。 のとき

は だけの関数 である。 で1変数の最小化に落ちるので、微分するだけでよい。

とおくと、(1) より で、 が条件を満たして動くとき は の全体を動く(たとえば )。(2) より

である。微分すると

すなわち

である。 なので の符号は の符号と同じで、 で 、 で である。したがって は で最小になる。

よって の最小値は で、それを与えるのは

のときである(この条件は なので (1) の条件を自動的に満たす)。

を 刻みで から まで動かすと、最小は での で、 と一致した。

が の全体を動けることを言っておく。範囲が狭ければ端点での値も調べる必要がある。

答えは「 の値」ではなく「 の条件」である。 を満たす はすべて最小を与える。

第1問だけのページ

第2問 整数

素数・不等式の評価・約数の絞り込み・平方数当サイトの体感難易度:やや難

(1) が相異なる素数となる正の整数 を1つ固定し、この3数のうち1つを 、残り2つを とするとき、 となる をすべて求める

答 と

まず が偶数(とくに )であることを押さえる。あとは3通りを順に不等式で判定するだけで、どれも因数分解できる形になる。

は偶数で 。 が奇数なら は偶数である。これが素数なら 、つまり だが、そのとき3数は で相異なるという条件に反する。よって は偶数で、 である。

以下、3通りを順に調べる。

(i) のとき。 で、 より

なので、つねに である。

(ii) のとき。 である。 は

と同値で、移項すると

となる。 より なので右辺は正であり、 が成り立つ。

(iii) のとき。 である。 より

であり、一方

である(、 より )。よって となり、不適である。

以上より、 となるのは

の2つである。

(ii) で出てきた は (2) でそのまま平方数として現れる。ここが誘導になっている。

のそれぞれで3通りを総当たりすると、 になるのは毎回 と だけだった。

を外しておかないと (ii) の不等号が等号になってしまう。「相異なる」という条件が効く。

が奇数だと が より大きい偶数になって素数でない。最初にこれを言う。

(2)正の整数 が を満たすとき、 を求める

答、

と変形すると、左辺は を使って になる。 から が出るので、 は右辺の約数のうちこの不等式を満たすものに限られる。右辺は相異なる3つの素数の積なので、約数は8個しかない。

左辺を整理する。 なので、 とおくと与式は

となる。 は正の整数なので 、とくに である。すると

すなわち

である。また は の約数である。

約数を絞る。 、 とおくと は相異なる素数で、 より である。 の正の約数は

の8個しかない。① の前半 を満たすものを見ていく。

  1. : なので 。不適
  2. : は と同値。しかし なので不適
  3. :① の後半 は でよいが、前半 は と同値。 より ()なので不適
  4. : から と合わせて 、さらに なら だが で不適

残るのは である。実際このとき ① は

と同値で、、 だから

と同値で、どちらも で成り立つ(後者は (1)(ii) そのものである)。

を求める。 を に入れると 、すなわち

である。 かつ だから

である。これは とも正の整数で、条件を満たす。よって

である。

で右辺の約数を総当たりして解を探すと、いつも の1組だけだった( なら 、 なら )。

をそのまま扱わず、 と見る。 でくくれる形になるのがすべての出発点である。

から という両側の評価が出る。片側だけだと約数が絞りきれない。

の約数は8個。1つずつ潰すときに と を忘れやすい。

第2問だけのページ

第3問 積分法

凸関数・対称性による積分の分割・置換積分・不等式の証明当サイトの体感難易度:やや難

(1) で のとき、 が で であることを示す

答 かつ なので、 は で減少して最後に になる

の値を直接評価するのは難しいが、 は の差だけでできている。 は「 が増加」ということなので、差の符号がすぐ読める。あとは右端 で になることに気づけばよい。

のとき、 はいずれも に入る(順に )。だから はこの区間で定義でき、微分もできる。

右端の値。 を入れると 、、 なので

である。

導関数の符号。 合成関数の微分で

である( の導関数は 、 の導関数は )。2つずつ組にすると

である。 より は で狭義単調増加である。 と だから、2つの はどちらも負である。よって

である。

結論。 は で単調減少なので、 のとき である。

のそれぞれで を2000等分して を計算すると、最小値はいずれもちょうど (右端での値)だった。

を直接評価しようとしない。 の形は分からず、分かるのは「 が増加」だけである。

を微分すると符号が2回変わって になる。内側の微分 を落とさない。

(2)(1) の について を示す

答4つの区間に分けて折り返すと

は の置換で符号が と変わる。これは の係数 とちょうど同じなので、 を4等分して全部 に折り返すと被積分関数が にまとまる。

xπ-xπ+x2π-x
y = cos x のグラフ。x, π-x, π+x, 2π-x の4点での cos の値は順に c, -c, -c, c(図は x = 0.6 の場合)。F(x) の係数 +1, -1, -1, +1 と同じ並びになる。

積分区間を の4つに分け、後ろの3つを置換で に移す。

:。 、、 は から まで動くので

:。 、、 は から まで動くので

:。 、、 は から まで動くので

4つを足すと、 でくくれて

すなわち

である。 では (1) より 、また なので被積分関数は 以上である。したがって

である。

なら 、 なら と、数値積分でも正だった。

置換のたびに「 の符号」と「積分範囲の向き」の2か所で符号が出る。両方を同時に処理して混乱しないよう、1つずつ書く。

の係数の並び と、 の値の並び が一致することがこの問題の核心である。(1) の の形はそのために作られている。

(3) で のとき、 を示す

答同じ折り返しで となり、

(2) とまったく同じ4分割を でやる。 の符号の並びは になるので、できあがる は「 の値を ずらして引いた差」2つの和になり、 が減少であることだけで正と分かる。 にあたる仮定は要らない。

(2) と同じ置換をする。 については

なので、同じ計算で

となる。4つを足して

である。ここで

とおいた。これを2つずつ組にすると

である。 より は で狭義単調減少である。 と だから、2つの はどちらも正である。よって である。

では なので被積分関数は 以上で、

である。

のときは「ずらした差の差」まで要ったので ( が増加)が必要だったが、 では「ずらした差」で止まるので ( が減少)だけで足りる。(1)(2) と (3) の仮定が違うのはこのためである。

で 、 で 、 で と、いずれも正だった。

の符号の並びは で、 の とは違う。そのため の係数は になる。

(1)(2) を使おうとしなくてよい。 には2階微分の仮定がないので、むしろ使えない。

第3問だけのページ

第4問 確率・漸化式

推移確率・連立漸化式・3項間漸化式・和の比較当サイトの体感難易度:難

(1)正方形の頂点を反時計回りに とし、先攻の駒を 、後攻の駒を に置く。先攻から交互にサイコロを振り、出た目を で割った余りが なら動かさず、 なら自分の駒を反時計回りに、 なら時計回りに隣へ動かす。移った先に相手の駒があればそこで終了とするとき、ちょうど 回目で勝敗が決まる確率を として を求める

答、

で割った余りは がそれぞれ確率 で出る。注目すべきは駒の位置そのものではなく2つの駒の間の距離(正方形の辺をいくつたどるか)で、これは (対角)か (隣)しかない。状態が2つだけなので一気に見通しがよくなる。

A(先攻)BC(後攻)D
正方形の頂点を反時計回りに A, B, C, D とし、先攻の駒を A、後攻の駒を C に置いたところ。最初は2つの駒は対角(距離 2)にある。

余りの確率。 から のうち、 で割った余りが なのは 、 なのは 、 なのは の各2通りである。よって「動かさない」「反時計回りに1つ」「時計回りに1つ」はそれぞれ確率 である。

状態は距離だけで決まる。 正方形の頂点を反時計回りに と番号づけ、2つの駒の番号の差を を法として見る。駒は「隣」か「対角」のどちらかにあり、距離は か である( になったら終了)。

距離 (対角)のとき、振った人が駒を動かすとどちらに回しても距離 になる。相手の駒に乗ることはない。したがって

  1. 距離 から:確率 で距離 のまま、確率 で距離 へ。終了しない
  2. 距離 から:相手の側へ回せば乗るので確率 で終了、逆へ回すと距離 で確率 、動かさなければ距離 のままで確率

どちらの駒を動かすかで状況は変わらない(距離だけで決まる)ので、先攻・後攻の区別は確率の計算には影響しない。

計算。 最初は と で距離 である。

1回目:距離 からなので終了しない。 で、1回目のあと距離 である確率が 、距離 である確率が である。

2回目:終了するのは「1回目のあと距離 」かつ「2回目に相手の側へ回す」ときなので

である。2回目のあとの状態は、距離 が 、距離 が である。

3回目:同様に

である。

30万回のシミュレーションで ()、()だった。

「出た目を で割った余り」なので、 はどれも確率 。 刻みで考えなくてよい。

対角にいる状態からはどう動いても相手に乗れない。最初の1回で勝負がつくことはないので である。

(2) を求める

答

回目を振る直前に「まだ終わっておらず距離が /」である確率を とおくと、連立漸化式になる。 なので、 の3項間漸化式に直して特性方程式を解く。

回目を振る直前に、まだ勝敗がついておらず2つの駒の距離が である確率を 、距離が である確率を とする。(1) の推移から

である。また終了するのは距離 から相手の側へ回したときだけなので

である。初期条件は である。

3項間漸化式にする。 ① の第1式から である。これを第2式の の形

に使うため、第2式 から

を得る(第2式を と解いて代入した)。これを に入れると

となる。② より も同じ漸化式を満たす。

特性方程式。 、すなわち を解くと

である。よって定数 を使って

と書ける。、 とおくと、 から 、 から である。前者より なので

である。、 だから

で、同様に である。これを代入すると

である。すなわち

である。

を入れると となり、(1) と合う。 は の整数倍なので、 はちゃんと有理数になる。

漸化式を分数のまま まで回した値と、この式の値の差は最大 だった。

状態を「駒の位置の組」で立てると になって手に負えない。距離だけに潰すと2状態で済む。

を初期条件に使う。 から始めてもよいが、 のほうが連立が軽い。

(3) 以上の任意の整数 に対して が成り立つこと(このゲームが後攻に有利であること)を示す

答 で を示し、 とあわせて項ごとに比べる

左辺は 回以内に先攻が勝つ確率、右辺は後攻が勝つ確率である。項数は同じか左が1つ多いだけなので、 を言えば項ごとの比較で終わる。 の単調減少は閉じた式を使わなくても、 の大小から出る。

()。 ① より

である。 で、 と から帰納的に (すべての )なので

である。

()。 ② と ① より

である。 では なので

である。つまり である。

和の比較。 左辺を 、右辺を とおく。 の偶奇で場合分けする。

③ は「奇数番より1つ手前の偶数番のほうが大きい」という形なので、 と を組にして比べる。

()のとき。 、 なので 、 である。 の最後の項 と の最初の項 を別にしてから組にすると

である。、 で、③ より各 だから である。

()のとき。 、 なので 、 である。やはり と で組にすると

で、③ より各項が正だから である。

いずれの場合も 、すなわち

が成り立つ。

とすると先攻の勝率は約 、後攻は約 に近づく。最初の1回では決して決まらず、しかも1回振るごとに「次に決まる確率」が減っていくので、1手遅く始める後攻のほうが有利になる。

から まで数値で両辺を計算すると、すべて左辺 右辺だった(たとえば で )。30万回のシミュレーションでも後攻の勝率が だった。

と は が奇数のとき だけ違う。項数がそろわない場合を落とさない。

組にするときは と ではなく と でそろえる。前者だと不等号の向きが逆になる。

の単調減少は閉じた式から言ってもよいが、 を示すほうが短く、根号を扱わずに済む。

第4問だけのページ

大学の公式解答ではなく、当サイト独自の解答・解説です。問題文は掲載していません。解答は当サイトで検算していますが、誤りが残っている可能性はあります。掲載方針配点・採点基準・難易度を大学の公表値として示すことはしていません。

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