新潟大理系数学の出題傾向と対策
新潟大学・理系・2019〜2026年度の分析
「6題のうち4題または5題」という独特の形式
新潟大学の理系数学は,1冊の問題冊子に大問が並び,受験学部ごとに解くべき大問が指定される という珍しい形式をとる。2026年度(令和8年度)の指定は次のとおりであった。
ここから読み取るべきことは3つある。
なお2019・2020年度は大問5題(理・工が 1〜5, 医学科・歯が 2〜5)で,2021年度から6題体制になった。 数学公式集は配布されないので,公式はすべて自分で用意しておく必要がある。
| 受験学部(学科,選抜方法) | 解答すべき問題 | 枚数 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 理学部(理数重点選抜)及び工学部 | 12345 | 5枚 | 120分 |
| 理学部(野外科学志向選抜)及び医学部(保健学科放射線技術科学専攻) | 1234 | 4枚 | 090分 |
| 歯学部 | 2345 | 4枚 | 090分 |
| 医学部(医学科) | 3456 | 4枚 | 090分 |
| (a) | 大問番号が大きいほど難しい。番号は難易度の順に並んでおり, 医学科は最も重い 3〜6 を,理・工は 1〜5 を解く。 |
|---|---|
| (b) | 1題あたりの時間は約24分。理・工型は120分5題,その他は90分4題で, どちらも1題あたり22〜24分である。名大や東北大のような「1題40分」の試験ではない。 |
| (c) | 完答が前提。小問は3〜5個あり,最後まで到達できるように細かく刻まれている。 部分点狙いではなく,取る問題を決めて完答するのが基本方針になる。 |
8年間の出題一覧
| 年度 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | 空間ベクトル(立方体の切り口) | 整式(3重解と整数解) | 平面図形・軌跡と極限 | 円の外転と最大公約数 | 三角関数と置換積分 | --- |
| 2020 | 空間ベクトル(四面体) | 整数(一次不定方程式) | 場合の数(桁の整数) | 定積分の漸化式と極限 | 複素数平面() | --- |
| 2021 | 空間ベクトル(正四面体) | 図形と方程式(重心の軌跡) | 確率漸化式(正五角形) | 定積分と関数の決定 | 複素数平面(単位円上の4点) | 対数の不等式と極限 |
| 2022 | 三角関数(四角形の面積) | 空間ベクトル(内分・外分) | 整式の割り算と領域の図示 | の接線と面積 | 複素数平面(円の図示) | 数列と極限(評価) |
| 2023 | 放物線と面積 | 正四面体(線分・角・体積) | 3次方程式と集合 | 共通接線と面積 | 複素数平面(1次分数変換) | 球面と内積の範囲 |
| 2024 | 接線と面積(数III) | 三角関数の最大最小 | 空間ベクトルと球面 | 確率(球と箱)と極限 | 楕円と面積の最大 | 複素数平面と面積 |
| 2025 | 平面ベクトルと放物線 | 定積分と極限 | 数列() | 対数と合成関数のグラフ | 複素数平面( が実数) | 曲線の面積と極限 |
| 2026 | 確率(同じ数を選ぶ人) | 平面ベクトルと面積 | 数列( と一般項) | の面積 | 複素数平面(1の11乗根) | 積分漸化式と交代級数 |
番号ごとに「出る分野」が決まっている
上の表を縦に読むと,新潟大の設計思想がはっきり見える。
上の一覧は,2019・2020年度の各5題と,2021--2026年度の各6題からなる 8年46題である()。 問題番号ごとの傾向を見ると,4 は数学IIIの微積分・極限, 5 は複素数平面,12 はベクトル・図形を中心に対策するのが有効である。 ただし,数列・確率・整数・図形と方程式・三角関数も繰り返し出題されているため, 特定分野だけに絞らず,受験区分ごとの指定問題に合わせて準備する。
| 番号 | 出る分野 | 特徴 |
|---|---|---|
| 12 | ベクトル/図形と方程式/三角関数/数列/確率・整数 | 数学I・A・II・B・Cが中心。教科書の章末問題を一段重くした水準で, 計算量はあるが方針で迷うことはない。ここを落とすと理・工型は致命傷。 |
| 3 | 数列・確率・整数・方程式 | 医学科の1題目。IIBの内容だが論証が要求されることが多い。 |
| 4 | 数学III の微分積分 | 8年間すべてで出題。接線・面積・体積・最大最小の組合せ。 ここが解ければ合格ラインに乗る。 |
| 5 | 複素数平面 | 2020年度以降7年連続。図示・軌跡・1のn乗根・1次分数変換が4本柱。 |
| 6 | 極限・積分漸化式・不等式の評価 | 医学科のみが解く最終問。「示せ」型が中心で,本試験でもっとも重い。 |
小問の並べ方は3通り
| 型 | 構造と対処 |
|---|---|
| A.道具を先に作らせる | (1)で微分・積分・因数分解などを単独で計算させ,(2)以降でそれを使わせる。 新潟大でもっとも多い型。(1)は必ず正解する。 |
| B.具体例一般化極限 | (1)で ,(2)で漸化式,(3)(4)で一般項か極限。数列・確率・積分漸化式はこの型。 |
| C.文字定数を含む場合分け | , 入りの関数・方程式で,(3)(4)が場合分けして答えよになる。 場合分けの境目を書き落とすと大量失点。 |
難易度と目標
新潟大の数学は「奇問はないが,時間内に完答するのが難しい」という設計である。 1題あたり22〜24分しかないのに,小問は3〜5個あり,計算量は決して軽くない。 差がつくのは思いつきではなく,手が止まらずに最後まで書き切れるかどうかである。
目標は次のとおり。
どの区分でも 4(数学IIIの微積分)と 5(複素数平面)が合否を分ける。 この2題は8年間ほぼ固定なので,対策の優先順位は明白である。
| 受験区分 | 目標 |
|---|---|
| 理学部(理数重点選抜)・工学部 | 75点(3完+2半) |
| 理学部(野外科学志向選抜)・医(保健) | 60点(2完+2半) |
| 歯学部 | 65点 |
| 医学部(医学科) | 80点(3完+) |
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