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東京大学 2020年度 前期日程 文科
東大文系 2020年度 数学の解答・解説
全4問。当サイトで独自に解いた解答・計算過程・詳解・別解を、大問ごとに載せています。
最終更新 2026/10/11
問題文について
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第1問 微分法
3次関数・重解と接する条件・格子点・領域当サイトの体感難易度:やや難
が 軸に接し、 軸と で囲まれた領域(境界を除く)の格子点がちょうど 個になるように、 を で表し の範囲を求める
答 で、( とも書ける)
3次関数が 軸に接するのは、接点が極値を与える点のときに限る。極大値は なので、接するのは極小のほうである。そこから が出て、 は と因数分解できる。あとは囲まれた領域の中にある格子点を、 が整数の列ごとに数える。
で、 だから は で極大、 で極小になる。値は
である。条件1。 3次関数が 軸に接するのは、 軸との共有点が重解になるとき、つまり極値が のときに限る。極大値は なので接するのは極小のほうで
である(これは のもとで をみたす)。このとき
と因数分解できる。 は で 軸を横切り、 で接する。
囲まれた領域。 では 、 だから である。よって 軸と で囲まれた領域(境界を除く)は
である。
格子点を数える。 とおく。整数 が にあるとき、 に属する格子点の個数は をみたす整数 の個数である。 なので、その個数は なら 個、 なら 個、 なら 個以上である。
はつねに に入り、 である。格子点が全部で 個なら、まず の列だけで 個以上になってはいけないから
が必要である。このとき 、 なので、 にある整数は と、 のときの だけである( は より入らない)。
の列を調べる。 で、 のとき
なので、 の列に格子点はない( も も について増加なので、右端での値を見れば足りる)。
したがって格子点の個数は の列だけで決まり、ちょうど 個になる条件は
である。 だからこれは
と同値である。このとき唯一の格子点は である。
、。 として領域内の格子点を直接数えると、 では 個、 では 個、 では 個、 では 個になる。 なら 個、 なら 個で、範囲を外れると条件は崩れる。
「 軸に接する」を「 軸と共有点をもつ」と読み違えない。接するのは重解をもつときで、3次関数では極値が になるときに限る。極大値 は より にならないので、極小値の側だけを考えればよい。
格子点は の個数を数えるので、 が整数のときに注意がいる。 の整数 は のとき の 個で、 個ではない。境界を含まないという条件が右端 を範囲に入れている。
の列を忘れない。 では も区間に入るので、そこに格子点がないことを確かめてはじめて「 の列だけ」と言える。
第2問 場合の数
格子点の選び方・包除原理・場合分け・行と列当サイトの体感難易度:標準
(1)選んだ点を1個も含まない直線がちょうど 本になる選び方の数を求める
答 通り
本の直線は、縦 本()と横 本()に分かれる。選んだ 点が使う 座標の種類を 、 座標の種類を とすれば、点を含まない直線の数は である。つまり条件は だけで、あとは ごとに数えればよい。
選んだ 点の 座標の種類を 、 座標の種類を とする。直線 が点を含まないのは が使われていないときだから、点を含まない直線は
である。 点なので 、、さらに である。条件は 、つまり なので
の3通りを数える。
(i) のとき。 座標は 種類すべて、 座標はちょうど 種類を使う。 座標が 種類で点が 個だから、ある 座標だけ 点、残りの つは 点ずつである。
- 使う 座標 つを選ぶ: 通り。
- 点をもつ 座標を選ぶ: 通り。その では つの を両方使う( 通り)。
- 残り つの 座標は、それぞれ つの のどちらかを選ぶ: 通り。
点をもつ列が を両方使っているので、 が 種類ちょうどになることは自動的にみたされる。よって 通りである。
(ii) のとき。 と を入れ替えただけなので、同じく 通りである。
(iii) のとき。 使う 座標 つを 通り、 座標 つを 通りで選ぶ。その の 点から 点を、 行も 列もすべて使うように選ぶ。包除原理で
通りである( 行以上空ける、あるいは 行と 列を空けると残りが 点以下になり、 点は選べないので、以降の項は )。よって 通りである。
合計。 3つは互いに排反なので
通りである。
通りをすべて列挙して「点を含まない直線がちょうど 本」を数えると 通りで、内訳は が 、 が 、 が であった。
「点を含まない直線がちょうど2本」は、縦2本・横0本、縦1本・横1本、縦0本・横2本の3つの形を含む。どれか1つだけを数えて終わらないこと。
のとき「 点をもつ が を両方使う」ことを見落とすと、 がちょうど 種類という条件の確認を別に書く羽目になる。ここは自動でみたされる。
では 点から 点なので、空になる行と列を同時に作ることはできない。包除原理の第3項以降が になるのはそのためで、書いておくと安全である。
(2) 本の直線がいずれも選んだ点を少なくとも 個含む選び方の数を求める
答 通り
条件は 、つまり 行 列すべてを使うことである。 点で 行を埋めるので、 つの行だけ 点、列も同様に つだけ 点になる。その「二重の行」と「二重の列」が交わるところに点があるかどうかで、形が2通りに分かれる。
(1) と同じ記号で、条件は 、すなわち である。 点を 行に各行 個以上で配ると、ちょうど つの行が 点、残り 行が 点ずつになる。列についても同様である。この行を 、列を とする。
(i) 点 が選ばれている場合。 このとき、 を取り除くと行 も列 も 点になり、残り 点は各行各列ちょうど 点ずつ、つまり置換の形になる。逆に、置換の形の 点に残り 点のどれか 点を加えると、必ずこの形になる。置換は 通り、足す点は 通りなので
通りである。この数え方で重複が起きないのは、 が選ばれている 点の集合からは、取り除いて置換になる点が ただ1つだからである(行 の他方の点を除くと、その列が空になる)。
(ii) 点 が選ばれていない場合。 列 の 点は 以外の 行にあり、その 行はこれで 点ずつ埋まる。残る 行を とする。列 以外の 列は 点ずつで、その 点は行 の 点と行 の 点である。したがって
- 行 を選ぶ: 通り。列 を選ぶ: 通り。
- 列 の 点が入る行を、 以外の 行から選ぶ: 通り(残りが )。
- 行 の 点が入る列を、 以外の 列から選ぶ: 通り(残りが の列)。
で 通りである。
合計。
通りである。
包除原理でも出せる。 行と 列を空ける選び方を足し引きして
となり、同じ答えになる。
通りをすべて列挙して「 本すべてが点を含む」を数えると 通りで、包除原理の計算結果とも一致する。 の内訳も、列挙で が選ばれているものが 、いないものが であった。
(i) で「置換 残りの点」と数えると、(ii) の形がまったく出てこない。 が選ばれていない形は、どの 点を取り除いても置換にならないからである。この取りこぼしに気づかないと で終わってしまう。
から「行も列も の形」はすぐ出るが、行の 点と列の 点の位置関係までは決まらない。そこで場合分けが必要になる。
第3問 図形と方程式
通過領域・半直線・回転・正三角形当サイトの体感難易度:やや難
(1) が 上を動くとき、半直線 が通過する領域を図示する
答 かつ (境界を含む)
半直線 は「向き」だけで決まる。だから の座標そのものではなく、 の傾きがどこまで動くかを調べればよい。 の傾きは で、相加相乗平均ですぐ最小値が出る。
()とおく。 なので、 は第1象限と 軸上( のとき )にある。
のとき。 半直線 は原点から右上に伸びる半直線で、その傾きは
である。相加相乗平均より で、等号は のときだから
である。また でも でも なので、 は 以上のすべての実数をとる。
のとき。 なので、半直線 は 軸の の部分である。
まとめる。 傾き の半直線 をすべて集めると、 の部分では 、つまり をみたす点がちょうど全部現れる。 の部分は の半直線が を埋める。よって通過領域は
である(境界の半直線 と 軸の の部分も含む)。
を について 万点で調べると最小値はちょうど ()である。 なら 、 なら で、同じ傾きが か所から出ることも確かめられる。
を忘れない。 だけだと の部分( 軸)が抜けてしまい、領域が開いているのか閉じているのか答えられなくなる。
は で最小になるが、 が に近いところと大きいところの両方で に発散する。つまり同じ傾きの半直線が つの から出ることがある。領域を求めるだけなら重複は問題にならない。
半直線は原点を端点に含むので、 自身も領域に入る。
(2) 上の点 と 上の点 で、 が正三角形の3頂点となるものが存在する の範囲を求める
答 または
が正三角形の頂点の1つなので、 は を のまわりに 回した点に限る。すると問題は「 の向きを 回したものが の向きになるか」だけになり、(1) で調べた の向きの範囲がそのまま効く。長さは回転で変わらないので、条件に一切関わらない。
が正三角形なら かつ なので、 は を原点のまわりに または 回した点である。逆にそう回せば必ず正三角形になる。
が 軸の正の向きとなす角を とする。(1) より の傾きは 以上のすべての値をとり、 のときは 軸正の向き()だから
であり、この範囲の はすべて実現する。 の向きは で、長さ は自由だから、 が 上にある条件は「向き の直線が に一致する」こと、すなわち
である( は原点を通る直線なので、向きが ずれても同じ直線である)。
の側。 は から まで動く。この範囲で は連続な増加関数なので
である。加法定理より(、)
なので、この側の範囲は である。
の側。 は から まで動く。 と のあいだなので は負で、やはり連続な増加関数だから
である。同じく加法定理で
なので、この側の範囲は である。
まとめ。 求める範囲は
である。小数で書くと と である。
上の点を 万点とって 回した向きが と一致するかを調べると、 では存在し、 では存在しない。これは と という2区間とぴったり合う。
も正三角形の頂点であることを使う。 は を原点のまわりに回した点に限られるので、 の長さは条件に関係しない。 の位置ではなく の向きだけを追えばよい。
は直線であって半直線ではない。向きが 違っても同じ直線なので、 が を超えても の値で扱える。ここを半直線と取り違えると範囲が半分になる。
の範囲 は両端を含む。 は 、 は で実現するので、 の範囲も両端を含む。
は範囲に入らない。 が 軸だと が か でなければならず、どちらも の外だからである。
第4問 整式・数列
基本対称式・多項式の積・係数比較・漸化式当サイトの体感難易度:難
(1) に対して を求める
答
は「相異なる2つの積の総和」なので、 を展開したものから、同じもの同士の積を引いて で割ればよい。どちらの和も等比数列なので、すぐに closed form になる。
、 とおく。
なので
である。中身を通分すると
なので
である。
なら で、 と合う。 は連続する2整数の積ではないが、 と のどちらかが の倍数になるので、商は必ず整数である。
定義どおりに全組合せの積を足して を計算すると、 のすべてで と一致した。 では 、 では である。
は「相異なる2つ」の積の和なので、 で割るのを忘れない。 では同じ組が2回ずつ現れる。
であって ではない。公比が の等比数列になる。
(2) と を の整式で表す
答、
は の基本対称式なので、 はそれらを根にもつ式の形、つまり そのものである。この積の形にしてしまえば、 を 増やす操作も を に替える操作も、因数が1つずれるだけになる。
は から 個選んだ積の総和、つまり基本対称式である。 を展開すると、 の係数はちょうど「 個の を選んだ積の総和」になるので
である( も合っている)。
1つめ。 積の形から、 を 増やすと因数が1つ増えるだけで
である。
2つめ。 を に替えると、各因数の指数が1つずつ上がって
となる( の積から の因数 を取り除いた形)。よって
である。
であることは、 についての帰納法でも示せる。 の の係数 を「 を選ぶか選ばないか」で分けると となり、これは の係数比較そのものである。
について の係数を定義から計算し、 を と で多項式として割ると、商はそれぞれ と 、余りはどちらも になった。
は の各項に を掛けたもの()である。積の形で見ると「指数が1つずれる」と分かるが、係数の形のままだと見通しが悪い。
は の因数を1つ後ろに足したもの、 は因数を1つ前から外したものである。どちらも との差が1因数なので、商が1次式になる。
(3) を で表す
答
(2) で の表し方が2通り得られた。同じ の係数を2通りに書けば、 を含む等式が2本できる。 を消去すれば、 と だけの関係が残る。
(2) の2つの式を使う。まず の の係数を比べて
である。次に を使う。 なので、 の係数は
である。
を消す。 ① から ② を引くと
となる。、 なので割ってよく
である。
の左辺は 、右辺の の項は で消える。残るのは である。
、 では で、 と一致する。、 のすべての組で、分数のまま計算して一致することを確かめた。
②を作るとき、 の の係数が であることを使う。 のままにすると ① と同じ式になってしまい、消去ができない。
消去する相手は である。 を消してしまうと目的の比が出ない。①の両辺を 倍してから引く、という順番が要点である。
のときも成り立つ()。式の上では の範囲すべてで使える。
大学の公式解答ではなく、当サイト独自の解答・解説です。問題文は掲載していません。解答は当サイトで検算していますが、誤りが残っている可能性はあります。掲載方針配点・採点基準・難易度を大学の公表値として示すことはしていません。
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