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大学別 数学入試分析大学一覧

名大文系数学の出題傾向と対策

名古屋大学・文系・2019〜2026年度の分析

形式は8年間不変

試験時間90分,大問3題,完全記述式 問題冊子は表紙・問題紙1枚・答案紙3枚・数学公式集3枚からなり, 問題紙はたった1ページで,そこに3題すべてが刷られている。 答案紙は大問ごとに1枚で,裏面は使えない。

数学の配点は学部によって異なり, 文学部200点・法学部200点・情報学部(人間・社会情報)400点・経済学部500点・教育学部600点である。 学部ごとの持ち点に直すときは,得点率をそのまま掛ければよい。

出題範囲は 数学I・数学A(図形の性質,場合の数と確率,数学と人間の活動)・数学II・数学B(数列)・数学C(ベクトル) 数学IIIの内容は出ないしたがって微分・積分は整式に限られ,三角関数を微分することはできない。極限(数列の極限を含む)も範囲外である。

年度大問1大問2大問3
2019定積分でつくった3次関数とグラフの交点点の列の漸化式・回転・三角形の面積確率(さいころ3回と2次方程式の整数解)
20202次関数の解の配置と絶対値つき定積分の最小ベクトル(正三角形・正四面体であることの証明)場合の数(三角形状の格子点と長方形の個数)
20212放物線の共通接線と面積対数の大小比較と3次関数の符号判定確率(盤面を動く石のゲーム)
2022整式の割り算と2次式の個数確率(さいころ3回・互いに素)2放物線で囲まれた面積の最大
20233次関数と2次関数の共有点・グラフの図示空間図形(立方体の中の四面体・体積の最小)確率(球とカードの8回試行)
20243次方程式と対称式2次関数のグラフと直線・2点への距離の比較確率(コイン 回と得点)
20252次関数と面積整数( の解)確率(6枚のコインを裏返す操作)
2026放物線に引いた2接線のなす角整数(どの2つも互いに素な3数と 確率(平面上を動く点・漸化式・不等式の証明)

大問の位置で分野がほぼ決まる

24題を分野で数え直すと,名大文系の設計は驚くほどはっきりしている。

つまり大問1は関数,大問3は確率とほぼ決め打ちでよく, 勝負は大問2の「変動枠」にある。ここに整数・ベクトル・数列・対数のいずれが来るかは読めない。

分野24題中特徴
関数・グラフ・面積(2次/3次関数,整式,微積分)9大問1は8年すべてこの分野。ほかに2022・2024でもう1題
確率・場合の数82022を除く7年で大問3。2022だけ大問2に置かれた
整数(数学と人間の活動)22025・2026。ほかに確率との融合が2題(2019・2022)
図形(ベクトル・空間図形)22020・2023
数列12019。ただし確率漸化式の形では2026にも現れる
指数・対数12021

理系との共通問題がある

名大は文科系・理科系で同じ日に別冊子の試験を行うが, 一部の大問は文理共通である。たとえば2026年度の文系大問3は,理系大問4とまったく同じ問題であった。 共通問題は数学IIIを使わずに解ける題材から選ばれるため, 確率・整数・数列の大問が共通になりやすい これらの分野では,文系だからといって手加減された問題は出ないと考えてよい。

難易度の実測

「文系だから易しい」という思い込みは危険である。 そこで,易/標準/やや難/難を次のように定義し,24題を1題ずつ分類した。

8年24題のうち「易」は1題もない 1回あたり平均で標準0.9題・やや難1.4題・難0.8題であり, 3題のうち1題は「知っている解法の当てはめ」では届かない とくに2026年度は3題すべてが「難」で,難化が続いている。

これは意図した設計で,各大問の最終小問に必ず 「もう一段」を要求するようにしてある。

定型の操作1つで終わる。答案は10行以内。
標準教科書傍用〜入試標準。方針が一意に決まり,計算も素直。
やや難方針の選択か場合分けの見きわめが要る。または計算量が重い。
前小問の結果を道具として使い直す,一般化する,評価するなど,もう一段の着想が要る。
20192020202120222023202420252026
000000000
標準010212107
やや難3121112011
011010036

小問の並べ方は4通りしかない

24題の小問はのべ69問,1題あたり平均2.9問である(最少1問・最多4問)。 復習しやすさを優先したためで,本番では小問が1つ減った形で出ると思っておくとよい。

構造と対処
A.具体例一般化評価(1)で を計算,(2)で漸化式か一般式,(3)(4)で証明か決定。確率の大問はほぼこれ。 (1)を落とすと以降の誘導がすべて死ぬ
B.段階を追う型(1)で一見どうでもよい等式を証明させ,(2)以降で道具として使わせる。 「(1)の結論を必ず使う」前提で読む。
C.すべて求めよ整数問題に多い。必要条件で候補を絞り,十分性の確認を書かないと大幅減点
D.図形量の最大最小変数が2つあって条件式で1つに減らすという一手間が必ず入る。

「示せ」より「求めよ」——理系との決定的な違い

理系の名大数学は小問のおよそ4割が「示せ」型だが, 文科系では8年69問のうち「示せ」型はわずか4問(約6%)である。 「図示せよ」も2023年度の1問だけしかない。 つまり文科系で問われるのはほとんどが「値・範囲・個数を確定させる力」であり, 答えが合っているかどうかがそのまま得点になる

このことは勉強の重心を変える。理系では論証の書き方に時間を割く価値があるが, 文科系では計算を最後まで正確に走らせる力と, 場合分けの境界を落とさない注意深さの方がはるかに効く。 名大文系数学が「計算量が多い」と言われるのはこのためである。

残りはすべて,答えを確定させる問題である。

難易度と目標

90分で3題は1題あたり30分であり,時間的な余裕はほとんどない。 名大文系数学は計算量が多いのが特徴で,方針が立っても書き切れないことが起こる。

目標は2完+1半(60点前後,得点率 経済学部・教育学部のように数学の配点が大きい学部では,ここが合否を分ける。 1題に固執して他題の(1)(2)を落とすのが最悪の失敗である。 3題すべての(1)(2)を確実に取るだけで,ほぼ半分の点になる。

この分析からつくった予想問題集

合格答案をつくる シリーズは、2019〜2026年度のこの出題分析をもとに書き下ろした名大文系数学のオリジナル予想問題集です。本番形式の問題に加え、どこで何点入るかを示した採点基準と別解を収録しています。

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