「AIに教材を作らせたいのに、結局自分で書き直している」── 教材作成AIに触れた先生・塾講師・教材制作者の多くが、同じ場所でつまずいています。問題は AI の精度ではなく、「下書き → 整形 → 配布 → 再利用」の流れを設計していないこと にあります。
この記事の結論
- AIは“魔法の道具”ではなく、教材ワークフローの一段として組み込む
- AI=下書き/LaTeX=印刷物/Web=入口、と役割を分けると運用が止まらない
- 教材は単発成果物ではなく、毎年磨かれる“資産”として設計する
AI教材作成でよくある詰まりポイント
教材作成AIを使い始めた人が、ほぼ確実に通る詰まりポイントを整理しました。
これらは AI を使う使わないに関係なく、教材を「単発の成果物」として作っているから 起きます。AI を入れる前に、まず役割分担とフォルダ設計を整えるとラクになります。
AIだけで完結させようとすると失敗する理由
生成AIは「平均的に正しそうな文章」を出すのが得意ですが、学習者のレベル合わせとファクトチェックが弱い という限界があります。AIだけで教材を完結させると、誤った数値や前提が混じり、最終的に人がレビューする時間が膨大になります。
AI・LaTeX・Web の役割分担
教材作成AI、LaTeX、Web(MDX/HTML)は、それぞれ得意な仕事が違います。1つで全部やろうとすると、運用が一番しんどくなります。
| ツール | 得意なこと | 不得意なこと | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| 生成AI | 下書き・たたき台・例題のバリエーション生成 | 学習者レベル合わせ・最終ファクト確認 | 問題案 / 解説下書き / 類題 |
| LaTeX | 数式・図版・印刷レイアウト | 検索性・即時更新 | 配布プリント / 問題集 / 解答PDF |
| Web (MDX) | 検索流入・内部リンク・更新 | 数式の繊細な組版・印刷 | 概念説明 / 補足ノート / 単元ハブ |
教材が止まらないフォルダ設計
役割分担を決めたら、ファイル構成も「あとから組み替えられる粒度」で揃えます。1冊の教材を1ファイルにまとめるのではなく、単元 × 用途 で小さく分けるのがコツです。
materials/
mechanics/ # 単元
intro.tex # 単元の導入(共通)
problems/ # 問題本文(番号は別ファイル参照)
01-uniform-motion.tex
02-acceleration.tex
solutions/ # 解説(問題と1:1対応)
figures/ # 図版(再利用前提)
electromagnetism/
shared/
macros.tex # 共通マクロ(\\vec, \\unit など)
styles.tex # 紙面スタイル
web-notes/
mechanics-overview.mdx # 単元ハブ記事
formula-reading.mdx # 補足/つまずきノート
ai-prompts/
problem-draft.md # AIへの定型プロンプト
variant-generator.md
下書きから配布までの5ステップ
実際に1単元分の教材を作るときの流れです。AI、LaTeX、Web の役割分担を、5ステップに割り付けます。
- 01
Step 1|AIに「下書きの要件」だけ渡す
「等加速度運動の小テストを作って」ではなく、対象学年・単元の前提・問題数・難易度・出題形式を明示。プロンプトはMarkdownで保存して再利用します。
- 02
Step 2|下書きを学習者目線で“編集”する
AIが出した文を、生徒のつまずく順序に並べ替え。説明の前に予測させる、最後に逆向きの問いを足す、など “意味の編集” が中心です。
- 03
Step 3|LaTeXに流し込み、印刷物として整える
数式と図版が前提のものはLaTeXへ。problems/ と solutions/ に分割し、共通マクロを使って書式をそろえます。プリントの完成度はここで上げます。
- 04
Step 4|Web向け要約をMDXで出す
PDFと同じ内容ではなく、「検索される問い」に書き直したMDXを別で持ちます。h2 はユーザーが入力しそうなフレーズで揃え、PDFへのリンクも置きます。
- 05
Step 5|配布 → 振り返り → AIへフィードバック
実際に使った後、「どこで詰まったか」をAIへの次のプロンプトに反映。教材は使うたびに少しずつ良くなる “生きた資産” になります。
コピペで使えるプロンプトテンプレ
実際に使えるテンプレを2つ紹介します。{} を埋めれば、そのまま生成AIに渡せます。
テンプレ1|小テスト・類題の下書き生成
あなたは高校物理の教材編集者です。以下の条件で小テストの下書きを作成してください。
# 対象
- 学年: {高1 / 高2 / 受験生}
- 単元: {等加速度運動 / 力のつり合い など}
- 想定レベル: {基礎 / 標準 / 応用}
# 構成
- 問題数: 5問
- 各問: 設問・選択肢(4択)・解説(200字以内)の順
- 1問目は概念確認、3問目で典型題、5問目で応用
# 制約
- 公式の暗記を促す表現は避ける
- 「なぜそう考えるか」を解説に必ず含める
- 数値は整数または分数で、SI単位を明記
テンプレ2|既存問題のバリエーション生成
以下の問題と同じ概念を確認できる類題を3問作成してください。
ただし、設定(物体・条件・数値)は変えること。
# 元の問題
{問題本文}
# 出力
- 各問: 設問・解説の順
- 解説では「元の問題と何が同じで、何が違うか」を1文添える
AIに任せていい仕事 / 人がやるべき仕事
教材作成AIは強力ですが、任せどころを間違えるとむしろ手間が増えます。
任せていい
問題のたたき台 / 類題のバリエーション / 解説の初稿 / タイトル候補 / 誤答の例示
人がやるべき
学習順序の設計 / つまずきポイントの言語化 / 図版の意図づけ / 最終ファクトチェック
ハイブリッドが最強
AIで5〜10案出させ、人が1案を選んで磨き込む。ゼロから書くより速く、AI任せより質が高い
運用が止まらないチェックリスト
教材を“資産”として育てるために、定期的に見直したいポイントです。
教材作成AIに関するよくある質問
LaTeXは必須ですか?Wordではダメですか?
数式が少なければWordでも問題ありません。ただし、再利用・差分管理・複数人編集を考えるなら、テキストベースのLaTeXのほうが圧倒的にラクです。Wordで運用が苦しくなったタイミングが、LaTeX導入のサインです。
AI出力をそのまま使ってはいけませんか?
下書きとしては優秀ですが、学習者のレベル合わせと事実確認は必ず人がやる必要があります。とくに物理・数学では、ハルシネーションで誤った値が混じることがあるため、最低でも数値と図は人が確認してください。
MDX を使うメリットは何ですか?
Markdownの読みやすさを保ったまま、Reactコンポーネント(図、表、Callout など)を埋め込めます。Solvora のブログもMDXで動いており、この記事の構造化された見せ方もすべてMDXコンポーネントで実装しています。
Solvora のアプリで教材作成を試せますか?
はい。Eddivom はAI下書き → LaTeX整形 → 解答PDF生成までを1つのWebアプリで体験できる外部サービスです。アプリ一覧から無料で開けます。



