「ChatGPT で物理の問題作成を試したら、数値が合わない・公式が間違っている・解答が雑」── 多くの教員が AI 教材作成の入口でつまずきます。原因は AI の能力ではなく プロンプトの設計が緩い こと。本記事は高校物理の 定期テスト〜模試レベルの問題を高速生成する実践プロンプト集 を、難易度別・単元別にまとめ、品質を上げる 7 つのコツと失敗回避パターンを実例で示します。
この記事の結論
- ChatGPT で物理問題を作るときは『難易度・単元・形式・解答粒度』の 4 要素を必ず明示する
- 数値の整合性は AI に任せず、最後に教員が必ず検算するワークフローにする
- LaTeX 出力指示で組版の手戻りがゼロになる
- 失敗例(公式取り違え・単位ミス・現実離れ)はプロンプトに『必須チェック』を入れて防ぐ
ChatGPT で物理問題を作る、万能プロンプトのテンプレート
ChatGPT で物理問題を作るときに品質が安定するプロンプトは、必ず 4 要素(難易度・単元・形式・解答粒度) を明示しています。以下が万能テンプレートです。
あなたは高校物理の問題作成専門家です。次の条件で問題を作成してください。
【難易度】定期テスト標準レベル(教科書傍用問題集 B 程度)
【単元】力学 / 等加速度直線運動
【形式】記述式(小問3つ:数値計算・グラフ選択・記述説明)
【解答粒度】各小問ごとに、解答・解説・使用公式を分けて記述
【数式記法】LaTeX(インライン $...$、ブロック $$...$$)
【数値の整合】使った数値は最後に検算結果も併記
【現実性】物理的に不可能な値(光速超え・負の質量など)を避ける
出力後、以下を確認してください:
- 単位の整合
- 公式の適用範囲(等加速度/非等加速度)
- 数値の現実性
難易度別プロンプト|定期テスト・小テスト・模試レベル
| 難易度 | 想定対象 | プロンプトに追記する文言 |
|---|---|---|
| 小テスト(5分) | 授業直後の定着確認 | 「単一公式の代入のみ。文字式と数値計算1問ずつ。」 |
| 定期テスト | 中間・期末 | 「教科書例題+傍用問題 B 程度。小問3つで段階的に。」 |
| 模試レベル | 進研・河合 | 「単元横断の複合問題。設問1で基礎、設問2で応用、設問3で記述。」 |
| 共通テスト型 | 高3後半 | 「対話文または実験設定の現象読解型。グラフ選択を含む。」 |
| 二次試験型 | 国公立志望 | 「導出過程を完全に記述させる。文字式中心。最後に物理的解釈を問う。」 |
単元別プロンプト|力学・電磁気・波動・熱・原子
各単元で「失点を生みやすいポイント」を明示すると、品質が一段上がります。
力学
【単元】力学 / 円運動
【追加指示】
- 中心向きを最初に定義させてください
- 鉛直円運動の場合、最上点・最下点で式を分けて書いてください
- 向心力の正体(張力・重力・摩擦など)を必ず明示
電磁気
【単元】電磁気 / 電磁誘導
【追加指示】
- 磁束の向きと変化(増/減)を最初に確定させてください
- 誘導電流の向きをレンツの法則で決めるステップを残してください
- 起電力の符号は意味を解説しつつ、大きさは |dΦ/dt| で計算
波動
【単元】波動 / ドップラー効果
【追加指示】
- 観測者・音源の運動方向を図で示してください
- 符号は『近づく=f' が上がる』方向で決めるルールに従ってください
- 風がある場合は音速 V を V±風速 に置き換える1ステップを明示
熱力学
【単元】熱 / 第一法則
【追加指示】
- p-V 図を必ず併記してください
- 等温・断熱・定積・定圧の判別を最初に書かせてください
- ΔU = Q - W の符号規約(W は気体がする仕事)を統一
原子
【単元】原子 / 光電効果
【追加指示】
- 入射光のエネルギー hν と仕事関数 W の比較を最初に書く
- 飛び出した電子の運動エネルギー K = hν - W を式で示す
- 限界振動数 ν_0 = W/h の物理的意味を最後に補足
AI で物理問題を作るときの品質を上げる 7 つのコツ
AI で物理問題を作るときに「使える教材」を出すための 7 つの実践コツです。
| # | コツ | 効果 |
|---|---|---|
| 1 | 難易度を3段階で例示する | レベル感が安定 |
| 2 | 数値は整数 or きれいな少数で揃える | 検算が早い |
| 3 | LaTeX 記法を必ず指定する | 組版の手戻りゼロ |
| 4 | 解答に『使用公式』欄を必ず作る | 後段の解説作成が楽 |
| 5 | 出力後に検算ステップを AI 自身に実行させる | 数値ミスが激減 |
| 6 | 失敗例(過去のミスパターン)をプロンプトに含める | 同じミスが減る |
| 7 | 出力を最後に教員が検算する運用ルール | 配布前の品質保証 |
AI 教材プロンプトでよくある失敗例と回避法
失敗例①|公式取り違え
等加速度の問題で v²-v₀²=2ax を v²-v₀²=2at と書く。回避:『使用公式を最初に明示』を必須化。
失敗例②|単位ミス
速度を m/s と km/h で混用。回避:『すべて SI 単位(m, s, kg)で統一』を明記。
失敗例③|現実離れ
車の加速度が 100 m/s²、人の速度が光速の半分など。回避:『物理的に妥当な範囲(人:〜10 m/s, 車:〜20 m/s²)』を例示。
失敗例④|解答が雑
途中式を飛ばして答えだけ出す。回避:『各小問ごとに解答・解説・使用公式を分けて』を明示。
失敗例⑤|難易度ブレ
定期テスト相当を頼んだのに二次試験レベルが返る。回避:『教科書傍用問題集 B 程度』など具体的な参照点を出す。
Eddivom などの教材ツールに連結するワークフロー
ChatGPT で生成した問題を 教材ツールに連結 すれば、配布までの時間が劇的に短縮されます。
| ステップ | やること | 推奨ツール |
|---|---|---|
| ① 下書き&LaTeX出力 | プロンプトで問題を生成 | ChatGPT / Claude / Eddivom |
| ② 仕上げ | LaTeX 記法を整える・必要なら微調整 | Overleaf / VSCode + LaTeX Workshop |
| ③ 検算 | 教員が必ず数値確認 | 計算ノートを併用 |
| ④ 配布 | PDF を保存して生徒へ | Google Classroom / 印刷配布 / 共有ドライブ |
よくある質問(FAQ)
ChatGPT で物理問題を作る場合、無料版でも実用に耐えますか?
定期テスト・小テストレベルなら無料版でも十分実用的です。ただし複雑な単元横断問題や数値の検算精度を要求する場面では、有料版(GPT-4 系や Claude Sonnet 以上)が安定します。プロンプトに『検算してください』を入れれば、無料版でも品質はかなり改善します。
AI で生成した物理問題は、著作権上問題ありませんか?
AI が新規生成したオリジナル問題は、教育目的の校内配布なら基本的に問題ありません。ただし既存問題の再生(教科書・問題集の写し)は明確な著作権侵害になるため、AI に既存問題集を読ませて『この問題を改変して』と指示するのは避けてください。
数式が崩れて出力されるのはなぜですか?
プロンプトで LaTeX 記法を明示していないと、AI は ASCII やマークダウンで数式を出してくることがあります。『数式は LaTeX で出力。インラインは 、ブロックは 』と必ず指定してください。LaTeX 物理 数式チートシートの記法を併記するとさらに安定します。
生徒に AI 問題を配布する際の注意点はありますか?
①教員が必ず検算してから配布する、②同じプロンプトでも出力が毎回変わるので『同一テストで複数生徒に同じ問題を配る』場合は固定する、③解答も AI に作らせるなら同じ会話セッション内で生成させる(数値整合のため)、の3点を徹底してください。
プロンプトを使い回せるよう保存する良い方法はありますか?
Notion・Obsidian・GitHub Gist などにテンプレを保管し、『難易度』『単元』だけを差し替える運用が最短です。本記事の万能テンプレートをコピーし、自校の傍用問題集名(例:セミナー物理 B 程度)を参照点として埋めると再現性が高まります。
関連記事・参考文献
- LaTeX 記法の早見表:LaTeX 数式 物理 完全チートシート|高校・大学物理でよく使う記法 50選
- 教材作成ワークフロー:AIとLaTeXで教材作成を自動化|下書き→整形→展開を1日30分に
- 物理単元の前提:等加速度運動の公式 / 円運動の向心力 / 単振動 / ドップラー効果 / 電磁気 単元別マップ


