岐阜薬科大数学の出題傾向と対策
岐阜薬科大学・薬学部・2019〜2026年度の分析
現行形式は120分・300点・大問5題
令和9年度入学者選抜に関する大学公式資料では,一般選抜は公立大学中期日程で, 薬学科の募集人員は78人,個別学力検査日は2027年3月8日である。 個別学力検査は数学300点・理科300点。数学の出題範囲は数学I・II・III・Aの全範囲, 数学Bの「数列」,数学Cの「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」である。 令和8年度募集要項による数学の試験時間は120分。実際の問題は8年間すべて大問5題である。
出題範囲について1点だけ注意しておく。数学Bのうち「統計的な推測」は範囲外である。 したがって,確率変数の分散・二項分布・母平均の推定は出ない。 一方,2026年度の大問5のように,数学Iの「データの分析」(平均・分散・共分散・相関係数)は出る。
2025年度から冊子は表紙付きとなり,各大問は独立した1ページに置かれた。 答案もそのページ内に書くため,正しいだけでなく,限られた面積に収まる答案が必要になる。
8年40題の一覧
40題を分野で数えると次のようになる。
| 年度 | 大問1 | 大問2 | 大問3 | 大問4 | 大問5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2019 | 二次数列・区画和 | 直方体の回転体 | 三角錐 | 整数解の個数 | 三角関数・領域 |
| 2020 | 二次関数・最大最小 | 反転と領域 | 高次曲線・面積 | 箱と玉の確率 | 球面・平面 |
| 2021 | 対数・最大最小 | 立方体と垂線 | さいころ | 非線形漸化式 | 複素数変換 |
| 2022 | 2階漸化式 | 座標変換・領域 | 斜軸回転体 | 条件付き確率 | 四面体と球 |
| 2023 | 領域・線形評価 | 円錐と内接球 | 積分極限 | 停止時刻の確率 | ねじれの位置 |
| 2024 | 指数・絶対値 | 多項式と複素数 | 線形計画 | 円弧積分・回転 | 直方体と四面体 |
| 2025 | 三角柱と内接球 | 最頻停止時刻 | 楕円の接線 | 三角関数・軌跡 | 級数と定積分 |
| 2026 | 三角形の内心 | 球面と射影 | サイクロイド | 2円の共通接線 | 分散・相関 |
| 空間図形・空間ベクトル | 9 | 数列・漸化式 | 3 |
|---|---|---|---|
| 微分積分(数学III を含む) | 7 | 三角関数 | 2 |
| 図形と方程式・領域・軌跡 | 6 | 指数・対数 | 2 |
| 確率 | 5 | 複素数平面 | 2 |
| その他(整数1・2次関数1・2次曲線1・データの分析1) | 4 |
空間図形が8年連続で毎年1題
最も安定しているのは空間図形である。2019--2026年度のどの年も必ず1題(2023年度は2題)あり, 題材は三角錐・直方体・立方体・四面体・三角柱・球面と幅広い。 しかも公式を一度使って終わる問題ではない。接する,垂直である,回転する,動く, という幾何条件を座標・内積・面積・体積へ翻訳させる。
問題図は40題中7題(約18%)につくが,その付け方には一貫した規則がある。 図がつくのは,頂点を文字で名づけた立体を言葉で述べた問題だけである (三角柱 ABC-DEF,四面体 OABC,直方体 ABCD-EFGH,立方体 ABCD-EFGH,正方形 ABCD)。 しかもその図は立体の骨組みと頂点の文字だけで,問題文で定義した点や球すら描かないことがある (2022年度大問5は,球 も点 G も描いていない)。逆に, 座標や方程式で完全に指定した問題には図がつかない (2020年度5,2023年度2・5,2025年度3・4,2026年度2・3)。
問題紙の図は,過去問と同じ1回につき1点(計5点)で, すべて大問2の立体である。いずれも立体の骨組みと文字だけにとどめ, 切り口・接点・内接球・軌跡といった設問で問うているものは描いていない。 たとえば第3回2では正四角錐と内接球までは描くが(2025年度大問1と同じ扱い), 接点 も接点のつくる円も描いていない。第4回2でも切り口の三角形 は描いていない。 問題文から起こせる図は問題紙に描かない——曲線の概形も,点がどちら側にあるかも, 受験生自身が手を動かして得るべき情報だからである。残りの図は解答編に6点置いてある。
1回分の典型的な構成は次のように読める。
| 空間図形1題 | 立体の計量,空間ベクトル,接する球。体積・角・軌跡まで進む。 |
|---|---|
| 数学III 1題 | 定積分,回転体,媒介変数曲線,極限のいずれか。計算の正確さが中心。 |
| 確率または数列1題 | 一般項,漸化式,停止時刻,条件付き確率。小問の誘導をつなぐ。 |
| 図形と方程式1題 | 領域の図示,軌跡,最大最小。 |
| 残り1題 | 代数,三角関数,複素数,整数,データの分析などを広く問う。 |
小問が多く,誘導が長い
40題の小問数は合計116で,1題あたり平均2.9小問,1回あたり平均14.5小問である。 小問なしの大問は8年で1題もない。5小問の大問も3題ある(2021年度大問3,2025年度大問5など)。 つまりこの大学は,発想一発で決まる問題ではなく, 長い誘導を最後まで走り切れるかどうかを見ている。
難度の実測
「中期日程だから標準」という評判をそのまま信じると,練習が軽くなる。 そこで過去40題を,次の4段階の基準で1題ずつ分類した。
過去問は「やや難」が半数近くを占め,「難」も毎年0〜1題ある。 ただし発想一発で決まる問題は1題も入れていない。 難しさは,場合分けの見きわめ・評価の作り方・論証の詰めで作ってある。
| 易 | 教科書の例題レベル。誘導に乗れば計算だけで完答できる。 |
|---|---|
| 標準 | 典型解法の組合せ。方針では迷わないが,計算量がある。 |
| やや難 | 方針の選択・場合分け・評価のいずれかで判断を要し,完答に20分以上かかる。 |
| 難 | 前小問の結果を使ってもなお着想か重い論証が要り,完答者が限られる。 |
| 易 | 標準 | やや難 | 難 | 計 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 過去問 2019--2026(40題) | 4 | 13 | 19 | 4 | 40 |
| 1回あたり | 0.5 | 1.6 | 2.4 | 0.5 | 5 |
| 1回あたり | 0.0 | 1.4 | 3.0 | 0.6 | 5 |
合格答案の目安
120分で5題,すなわち1題平均24分である。 標準的な式変形を速く正確に行い,図示・場合分け・等号条件を短い文章で閉じる必要がある。
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